当ボーカルスクールにお越しいただく方々の中には「高い声が出せるようになりたい!」という方も多くいらっしゃいます。
そこで今回は「誰でも高音を楽に出せるのか?」をテーマに書きたいと思います。
近年のポップス界では、特に男性歌手において高音を歌うスタイルが主流となっています。
ボーカルテクニックの向上により、高音を多用する楽曲が溢れています。
しかし結論から言えば、誰もが「練習をすれば、高音を楽に出せるようになる」わけではありません。
その背景には、歌手の声種が関係しています。
男性の声種とその特徴:テノール、バリトン、バス
男性の声種は主にテノール、バリトン、バスに分類されますが、現在活躍している多くの男性歌手はテノールであることが特徴です。
テノールは声帯が比較的短く薄いことから高音を出しやすく、ポップスの中でも耳に残りやすい明るい音色を持っています。
一方で、バリトンは声帯がやや長く厚く、低音域に強みがある一方で高音域は得意ではありません。
そのため、バリトンの歌手がポップスで高音をメインとする楽曲を歌うことは少ないのです。
「高音志向の需要」とマッチしたテノール
現代の音楽プロダクションにおいては、昔に比べて視覚的なパフォーマンスや若々しいイメージが重視される傾向があります。
高音を特徴とするテノールの声は、その需要に合致しており、自然と高音を得意とする歌手が多く活躍しています。
バリトンやバスは「声種に合った歌声を磨く」べき
バリトンやバスの歌手が、テノールのように高音域を出そうとするのは難しく、無理が生じるのは当然です。
※例外的にテノールのように高音を出せる素晴らしい歌手も存在します。
声帯の構造や特性が異なるため、それぞれの声種には得意な音域があり、それを活かすことが大切です。
無理にテノールのように歌おうとするのではなく、自分の特性に合った高音域で表現力を磨くことで、素晴らしい歌声を目指しましょう。
それぞれの声の特性を活かせば、唯一無二の魅力的な歌声を作り上げることができます。
バリトンやバスなどの低音歌手が「どうしても高い音で歌いたい!」のであれば、裏声をベースにした発声が適しているかもしれません。